二十代の若造だった私は、腕時計の世界など「ロレックスが頂点」だと信じて疑わなかった。左腕に冠のマークを乗せていれば、それで一人前だと。そんな私の価値観を、音を立てて崩した友人がいる。
彼の手首には、私が見たこともない時計が鎮座していた。ベゼルには八角形の武骨なネジが打ち込まれ、それでいて仕上げは鏡のように美しく、見たこともないような高級感を放っている。
概念を破壊する「八角形」との邂逅

「それ、どこの時計?」
問いかけた私に、彼は少しだけ得意げに笑って言った。「オーデマ ピゲ。ロイヤルオークだよ。……まあ、これオマージュなんだけどさ」
その時、私が受けた衝撃は今でも忘れられない。それがたとえ本物ではなかったとしても、その「デザインの圧倒的な力」と「雲上ブランド」という概念の存在そのものに、私は完敗したのだ。ロレックスを知っているだけで満足していた自分が、急に「まだ何も知らないひよっこ」に思えて、顔が熱くなったのを覚えている。
伝統と革新。「鋼のラグジュアリー」という地平
「お前、まだそこかよ」
その言葉は、友人が口にしたわけではない。ただ、その時計の放つ異質なオーラが、私にそう突きつけてきたのだ。オーデマ ピゲ。それは、単なる計測機器ではない。1875年から一度も創業一族の手を離れず、伝統と革新を編み込み続けてきた「職人のプライド」の結晶だ。
特に『ロイヤルオーク』は、1972年に「高級時計=金無垢のドレスウォッチ」という常識を破壊し、「鋼(スチール)のラグジュアリー」という新たな地平を切り拓いた。天才デザイナー、ジェラルド・ジェンタが手がけたその意匠は、半世紀を過ぎた今でも、他の追随を許さない圧倒的なアイコンであり続けている。
「ひよっこ」だった自分への決別と、頂への誓い
今の私なら、あの時の衝撃の正体がわかる。それは、単なる高価な道具への憧れではなく、既成概念を打ち破る「本物の風格」に触れたことへの畏怖だったのだ。
ベゼルに並ぶビスの配置、タペストリー模様のダイヤル、そしてケースからブレスレットへと流れるような一体感。それらすべてが、時計という枠を超えた彫刻のような気品を湛えている。いつかは、オマージュではなく、本物の八角形をこの腕に。あの日の「ひよっこ」だった自分に決別するために、私は今日もその頂を見上げている。
追記:伝説の「八角形」という美学を、その手に宿すために
もし、あなたが「既成概念を打ち破る風格」に魅了され、その一歩を踏み出したいなら。
世界中の時計愛好家を虜にし続ける、この「伝説の意匠」をその目で確かめてほしい。
* 雲上のアイコン:オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オートマティック
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ステンレススチールをゴールドと同等、あるいはそれ以上の価値へと昇華させた歴史的傑作。ザラツ研磨を思わせる緻密なサテン仕上げと、鏡面仕上げのコントラストは、写真では決して伝わらない「光の魔術」を腕元に生み出す。
* 「タペストリー」が描く、深淵なる表情
文字盤に刻まれた微細な四角形の集まり「プチ・タペストリー」や「グランド・タペストリー」。光の角度によって刻々と表情を変えるそのダイヤルは、持ち主だけに許された贅沢な鑑賞体験だ。
* 入手という名の「到達」
正規店での入手は極めて困難であり、セカンダリマーケットでもその価値は衰えることを知らない。しかし、この「八角形」を手にすることは、単なる時計の購入ではなく、時計史における一つの「真理」に到達したという、あなた自身のキャリアの証明になるはずだ。
この記事以外にも、1,000円から100万円超えまで、私が惚れた時計たちをこちらにまとめています

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